吉田修一『さよなら渓谷』 | ほんだな

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読んだ本の記録・メモ。

彼が、性犯罪被害者に焦点をあてたテレビ番組を見ていたり、仕事柄見聞きする性犯罪の話をしたりするとき、なぜだかわからないけれど嫌な気持ちになる。真剣な気持ちで見ているのもわかるし、彼の発するコメントも的確で同意できるのに。だから何が不満なのか気に入らないのかわからないのだけど。
「見ないで」「知らないでいて」という気持ちになるのは、どうしてなんだろうね。



最近読んだ吉田修一の本がわりと軽めに感じたので、思ったよりも読み甲斐はあった。
ただ、扱っている事柄に対して、書ききっていないというか中途半端な感じも若干した。
「俊介」と「かなこ」の関係は読んでいて見当がついていたので、ストーリーではなく、人物の内面や心情をもっと描ききってほしかったかも。あるいは、いっそ淡々と距離を置いて、この人らしい書き方で描いてもよかったのかも(『パレード』はそういう淡々としたところが好き)。
★は3.5かな。
★★★☆☆


さよなら渓谷/吉田 修一

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